「近位の安定性」が「遠位の可動性」を生む話は興味深い。縄跳びをするとき、持ち手をしっかりと握らなければ縄を素早く回すことはできない。末端の動きを大きく出すために、より手前の部分を強く固定する必要がある。この理論を応用したエクササイズ「プランク・ソー」は秀逸だ。一般的なコアエクササイズのひとつである「プランク」の姿勢から、さらに足関節の底背屈運動をおこなうことで、下腿部が柔軟化される。その上、このとき、太腿前部に負荷がかかるため、硬化してトラブルを起こしやすい腿裏の筋肉は反射的に弛緩する。カンタンに言えば、やるべき筋トレとされるべきストレッチが同時に行われている。やや機械論的に身体をとりあつかっている節があるものの、原理を逆手にとった優れたエクササイズがこの「プランク・ソー」だ。このように、優秀なエクササイズは筋トレとストレッチの両方の意味を持つ。果物がエネルギーとビタミンと水分を都合良くもたらすように、必要な要素を自然と補うエクササイズが存在する。
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